女職人ルポ
女職人ルポ
イラストルポ連載 「MORE」女職人ただいま修行中

★集英社「MORE」2009年1月号から、全12回にわたって取材させて頂きました。
全国でご活躍中の若き女職人さんに、仕事内容とその魅力・職人を目指した動機から将来への展望までを伺い、改めて伝統工芸の素晴しさと仕事に対する姿勢について勉強させて頂き、大変有意義な時間を過ごす事が出来ました。
日本の文化、伝統、ものづくりに関わる業界の益々の発展を願うと共に、私もイラストやルポの表現で情報の発信に寄与する努力を続けたいと思う今日この頃です。
 

第1回 江戸切子
小川郁子さん(東京都江東区)
緻密で繊細なカットにより、涼しげで上品な輝きを放つ江戸切子。その端正なカットには「ななこ」「くもの巣」「笹の葉」「麻の葉」「菊籠目」「菊つなぎ」等、実に美しく多種多様な文様がある。ガラスを削る為の、円盤のような刃「ダイヤ盤」は大小様々、何種類も揃えるので、ダイヤ盤だけで100万円はかかるそう。数々の工芸展で入選を果たしている小川さんの工房は、なんとマンションの一室で「意外と場所を取らずにできますよ」とのことだった。材料のガラスは既製品を使う場合と、自分でデザインした形を特注する場合の2通り。丸みを帯びた特注の色被せガラスに「くもの巣」をあしらった、小川さんのオリジナルの小物入れは、伝統に縛られない表現でカッコイイ。「伊勢丹新宿店」や、南青山の「BLOSSOM」等で購入可能。

第2回 和菓子
石垣安貴さん(三重県桑名市)
「和菓子ラボ・あきぞう」のメイン商品は、みたらし団子とおはぎ。和菓子らしい素朴な味と、楽しくて親しみやすい雰囲気を大切にしているお店。和菓子職人としての技の見せ所は様々だが、おはぎやまんじゅう等の包む作業「包餡(ほうあん)」は、何度も経験する事によって、ようやく身に付く基本の技!しっとりとした食感と、優しい甘さが特徴の「上用まんじゅう」は、その店の味を端的に表す和菓子の基本なんだそう。生地へのこだわり、包み方はもちろんの事、手間のかかるこしあんをどう作り上げるか、最もセンスを問われる。その他「これができると、一人前の職人として認められる!」という和菓子は次の通り。
★上生菓子・・・ねりきり・ようかん・ぎゅうひ等で季節感を表現。茶の湯でも使用。
★工芸菓子・・・花鳥風月など自然風物を精巧に、かつ芸術性豊かに表現。有平糖や干菓子など、全て口に出来る材料で作った飾り菓子。
★引き菓子・・・冠婚葬祭に使用される生菓子。

第3回 木工
目黒照枝さん(福島県三島市)
奥会津・三島町は、日本有数の桐材の産地。三島の桐は、軽くて柔軟、吸水性が小さくて断熱性が大きい。吸い付くように柔らかく、温かい感触がある。大村さんの作った「桐すのこベッド」は質の良い睡眠がとれそう。工房には木の香りが漂い、作業の音が響く以外とても静か。シンプルだが充実した時間が流れている。昔の農家では、雪に閉ざされた冬の農閑期に、自然の素材を使って様々な生活道具や民具を作っていた。中でも、山ブドウ・マタタビ・ヒロロなどを用いて作る「奥会津編み組細工」は国の伝統工芸品に指定されている。地元の人が作ったバッグやザルなどは大変人気で、「会津工人まつり」には全国からたくさんのバイヤーが買い付けにくるそう。大村さんがお勤めの「三島町生活工芸館」では工芸品の展示・販売の他、木工や編み組の、ものづくり体験ができる。

第4回 駿河竹千筋細工
大村恵美さん(静岡県駿河市)
「駿河竹千筋竹細工」は江戸時代初期、徳川家康公が鷹狩りの餌箱を竹細工で作らせたのが始まり。その後は武士の内職にもなった。風鈴・虫籠・花器・あんどん・・いずれも風流で繊細な、味わい深い趣がある。「千筋」と言われるように、細いひごをたくさん使っているのが特徴。材料になる竹は、真竹(まだけ)と孟宗竹(もうそうちく)。真竹は柔軟できめが細かく、孟宗竹は硬く厚みがある。成長して3年たったものを、特性を生かして使い分ける。大村さんが、伝統工芸士・篠宮康博さんへ弟子入りしたのは、静岡市・地場産業の後継者育成制度を利用したそう。


第5回 手すき和紙
小此木明子さん(埼玉県比企郡小川町)
素朴で温かみのある風合いを持つ「小川和紙」は主に、着物を入れるたとう紙や画材用紙などに使われている。和紙の代表的な原料は、桑科の「楮(こうぞ)」という木の樹皮の部分。皮は外側から、黒皮・甘皮・白皮の3層になっており、白皮に紙の原料となる繊維が多く含まれる。作る紙に応じて黒皮や甘皮も使用。枝を釜で蒸して剥ぎ取った樹皮を、アルカリ性の熱湯で煮て、繊維を柔らかくして不純物を溶かす。水槽の中に水をはり、打解して柔らかくなった樹皮と「トロロアオイ」の根から出る粘液を入れる。この粘り気に、繊維を絡ませる効果や、水槽の中にまんべんなく繊維を分散させる効果がある。

第6回 木版摺師
原田裕子さん(京都府京都市下京区)
印刷文化の原点である木版画。古くは仏教とともに伝来した経文木版に始まり、江戸時代には浮世絵が生み出された。木版画は三者の分業で制作される。★絵師・絵を描く人。★彫師・版を彫る人。★摺師・色をする人。「竹中木版 竹笹堂」は100有余年も摺師の技を継承する老舗。その制作例は、古版画や浮世絵の修復や復刻、作家としての独自の作品制作、菓子屋や料亭などからの受注制作、ステーショナリーや雑貨の制作など、多岐にわたる。紙は福井の越前紙を使用。よく使う色は、白・黄・ガラ(茶)・藍・黒・シンバシ(新橋芸者が好んだ青)。版木は桜かシナベニヤ、色を塗る刷毛は馬の毛を使用するそう。

第7回 瓦ぶき
大塚奈央子さん(京都府京都市北区)
瓦ぶきとは、建物の屋根を造ったり、修繕したりすること。材料になる瓦は粘土瓦・金属瓦・セメント瓦など様々。「長田瓦店」では、使用する9割の瓦が淡路産の粘土瓦。寺社や町家の多い京都で最も使用される。瓦は暑さ寒さを和らげ、雨音を消す、日本の気候風土に合った建材。一度ふき替えると60年はもつそう。
京都は景観法が年々厳しくなっており、瓦ぶきの需要が増えている。和瓦には重厚さと気品がある上、機能美も備わった魅力がある。

第8回 東京手描友禅
堀井雅未さん・鎌足和美さん(東京都葛飾区)
「友禅」の名は約300年前、京都の絵師・宮崎友禅斎の模様が人気を博しその名が広まった。発祥地においては、京都が先だ金沢が先だと、今も専門家の間で物議を醸している(笑)。草花や風景など四季折々の題材を模様とし、繊細な技巧が凝らされた染色工芸。「京友禅」は日本画のような模様を多彩な色で染め、更に金銀箔や刺繍をほどこしており絢爛豪華。「加賀友禅」は「加賀五彩」と呼ばれる、えんじ・藍・黄土・緑・紫の五色で構成され、しっとりとした色合い。「東京友禅」は色数や色味が控えめで、あっさりと「粋」。現代では古典模様からモダンな模様までと幅広い。

第9回 花火師
反田史恵さん(茨城県下妻市)
「丸玉屋小勝煙火店」は江戸時代より続く老舗。一瞬にして多くの人の心を魅了する花火には、想像以上の手間がかけられている。材料は主に火薬・紙・のり。花火玉の中身は花火の色や光を出す火薬「星」と星を遠くまで飛ばす火薬「割薬」が並べられている。花火玉は何百メートルにも広がるので、精巧に並べないと歪みの原因となる。通常の花火大会で打ち上げられるものは3〜5号玉。世界最大の花火は新潟県片貝地区の40号玉(約120cm)。

第10回 江戸風鈴
篠原由香利さん(東京都江戸川区)
ガラス風鈴は江戸時代に、長崎のビードロ職人から伝わった。元来風鈴は、お寺の四隅に下がる鉄製の風鐸が変化したもので、厄よけの意味があった。「江戸風鈴」とは、篠原風鈴本舗の、江戸川区無形文化財保持者である篠原儀治さんが、昭和40年頃に名付けたブランド名。

型を使わず、ガラスを息でふくらます「宙吹き(ちゅうぶき)」という技法と、風鈴の内側から絵付けをしているのが特徴。

第11回 石工
長谷川渚さん(愛知県岡崎市)
城の石垣、鳥居、石灯籠・・。日本には古くから石を用いた文化がある。愛知県岡崎市は、茨城県桜川市と香川県庵治町と並ぶ石の三大産地。彫刻に適した良質な御影石(みかげいし)が産出される。近年、安価な輸入物が流通しているが、国産の御影石は日本の気候風土によくなじみ、年とともに風格や味わいが増す。

「上新石材店」では、様々な石の「あかり製品」をはじめとし、門柱、石畳、水鉢、庭テーブル、墓石など、多種多様な石製品をつくっている。

第12回 杜氏
長谷川渚さん(京都府亀岡市)
日本酒を造る蔵人の長、またはその職人である杜氏の起源は江戸時代以降、農民が農閑期に副収入を得ようと、全国の造り酒屋へ出稼ぎに出たのが始まり。各地の杜氏には流派があり京都・嵐山上流の蔵「丹山酒造」は創業以来、能登杜氏(石川)と後に南部杜氏(岩手)の着任により、その技を今に伝える蔵元だ。




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